『日本の住文化』
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 日本では、最近も相変わらず各住宅メーカーがTV、新聞、雑誌等を通じていろいろな宣伝とか、コマーシャルを約30年以上に渡り継続してきました。

  さて、その成果として果たしてそれらの文化・社会・経済的、影響を及ぼした現実的結果はどうでしょうか?
何百万戸に及ぶメーカー製住宅とそれらが出してきた特許の山、そして価値ある文化的潮流・・・?!
確かに日本はその歴史上、〈流れ着きの文化の集積所〉でもあり、それらの流れてきた文化をうまく日本社会の底流に取り入れてきました。しかし、今現在、皆さんの周りにはどれくらい『日本の住文化』と言われる本来のものがあるでしょうか?

 将来、現在のハウスメーカーがその伝統となる日?!が来れば別でしょうけれど、私が感じる『日本の住伝統』とはちょっと違うような気がしています。とにかく辺りを見回すと本当に様々なスタイル、デザイン等々の建築物が建ち並んでいます。特に日本の都市部には異常に多くの建物の形状、色彩、テクスチャや規模高さ等の違いがあります。これほどの多くの違いを目にするのは本当に日本ならではと思われます。それは〈流れ着きの文化の集積所〉である日本の都市部がそれらの〈漂流物〉で溢れているからなのです。私はそれを非常に日本的であり、アジア的であると思います。それらがいつの間にか典型的現代の日本の風景を形創ってきているわけですから、それらがあまりに秩序無く、あるいは整然に反し、雑然としている状態もあるわけです・・・。

  日本的に細分化された土地とその所有者が各人の考え方で建物が建てられていく訳ですから、建築の単体規定(建築計画)と集団規定(都市計画)*1のみで規制させるにも限度があります。ましてや自由を重んじる風潮下、諸外国とは事情が異なる漂着文化の融合がもたらしている現実がここにもあると思われます。

*1 これらに基づいた審査が役所で行われます。
それが建築の開発申請とか確認申請とかいわれるものです。
条例により建築協定等も作れます。